アジフライブームはなぜ起きたのか?松浦市から全国へ広がった令和の国民食の魅力と背景を徹底解説

未分類

アジフライブームはなぜ起きたのか?その火付け役は地方の小さなまちから

近年、専門店で行列ができるほどの人気を誇る「アジフライ」。かつては家庭のおかずや給食の定番として親しまれてきたこの料理が、今なぜ地方発のブームとして全国に広がるほど注目されているのでしょうか。その背景には、地方自治体のユニークな戦略や、時代に合った食の価値観の変化がありました。

ここでは、アジフライブームがどのようにして生まれ、なぜ多くの人々を惹きつけているのかを詳しく解説していきます。


地域の発信から始まったアジフライの聖地化

アジフライブームのきっかけは、長崎県松浦市の「アジフライの聖地」宣言です。松浦市はアジの水揚げ量が日本一という地の利を活かし、2018年から積極的なPRを開始しました。新鮮なアジを使った絶品アジフライを武器に、「地域の宝」としてブランド化を図ったのです。

2019年には地元飲食店とのコラボイベントや、観光マップ・憲章の制定により認知を高めた結果、松浦市を訪れる観光客は大幅に増加。さらにそのブームは九州の都市部へと波及し、2021年頃からは東京など首都圏にもアジフライ専門店が次々登場しました。


アジフライが今支持される理由とは?5つの社会的背景

アジフライ人気の裏には、現代の生活スタイルや消費者の志向に合った“必然性”がありました。以下に主な理由を紹介します。

● 健康志向にマッチした青魚ブーム

アジは青魚の代表格で、EPAやDHAなどの栄養が豊富に含まれています。健康意識が高まる中で「体によい魚をおいしく食べられるフライ」としてのアジフライが注目されたのです。揚げ物でありながら“ヘルシーなイメージ”を持つのが大きなポイントです。

● 手頃な価格とコスパの良さ

アジは比較的安価な魚で、専門店のアジフライ定食も1,000円前後が主流です。高級すぎず、でもおいしい。そんな日常に寄り添った価格設定が、幅広い層に受け入れられました。

● 素材の安定供給とサステナブルな魅力

真アジは日本近海で多く獲れ、通年流通しています。輸入食材に頼らず、国産であることも安心感と支持につながっています。地産地消のモデルケースとしても評価され、サステナブル志向の人々にも響いたのです。

● 家庭での揚げ物離れが進んでいる

現代では家庭で揚げ物を作る機会が減少しています。共働き世帯の増加や片付けの手間などが背景にあり、「揚げ物はプロに任せたい」というニーズが強まっています。そんな中、揚げたてを食べられる専門店のアジフライが特別な価値を持つようになったのです。

● B級グルメ・懐かしさの再評価

かつての定番料理が“ごちそう”として再評価される流れも大きな要因です。アジフライは昭和の家庭料理として親しまれてきた味。その素朴さに、現代の人々が癒しや懐かしさを求めているのです。昭和レトロブームとも相まって、アジフライは「懐かしくて新しい」存在となっています。


アジフライの進化がブームを加速させた

ブームの背景には、料理としての“進化”もあります。従来のアジフライとは一線を画す、刺身用のアジを使用した高品質な仕上がりや、新しい揚げ方・食べ方の登場が話題となりました。

以下のような新しいスタイルが登場し、見た目も食感も一新され、多くのグルメ層を魅了しています。

  • 骨や尾を取り除いた厚みのあるフィレタイプで、ふっくらジューシーな食感を実現

  • 低温調理で衣が白く仕上がる「白いアジフライ」

さらに、タルタルソースだけでなく、卵黄ダレやカレー風味などアレンジも豊富です。


テレビ番組とSNSが後押しした全国的広がり

メディア露出もブームを加速させました。特に2022年に放送された『マツコの知らない世界』では、アジフライ専門店の店主が出演し、全国の名店を紹介。視聴者からは「アジフライが食べたくなった」との声が殺到しました。

 

また、InstagramやX(旧Twitter)では、揚げたての断面写真やボリューミーな定食のビジュアルが拡散され、「#アジフライ」で多くの投稿がバズるなど、SNSとの相性の良さも注目ポイントです。


アジフライは令和の新定番グルメへと進化している

地方発の庶民的な料理が、現代の感性とテクノロジーに支えられて全国区のブームとなったアジフライ。その人気は一過性の流行にとどまらず、健康的でコスパがよく、しかも新しい食体験ができる「令和の新定番」として定着しつつあります。

今後も地域ごとの工夫や新しい調理法が登場し、アジフライの魅力はさらに広がっていくでしょう。次の休日には、話題のアジフライ専門店を訪れてみてはいかがでしょうか。食べた瞬間、きっとその“普通じゃないうまさ”に驚くはずです。

たとえば、東京都市ヶ谷の「トーキョーアジフライ」は、松浦産の刺身用アジを使用した肉厚のアジフライが名物で、連日行列ができる人気店です。また、博多にある「アジフライセンターおむこさん」は、ふっくらジューシーな仕上がりで、テレビ西日本やRKB毎日放送など地元メディアでも多数取り上げられています。さらに、五反田の「酒肴あおもん」では、わずか20秒で揚げた“半熟アジフライ”が話題を呼び、SNSでも注目を集めています。

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました