更新日:2025年12月9日
熊が温泉地に現れるのはなぜ?被害事例と理由・安全に入れる温泉地まで徹底解説
寒さが増えてくると、温泉でゆっくり疲れを癒したくなる方も多いと思います。
私自身、証券会社時代に兵庫県姫路市に住んでいた頃は、社内旅行で岡山や兵庫北部の温泉地へよく足を運び、その心地よさを何度も味わいました。
一方で近年、こうした温泉地で熊が目撃されたというニュースが増えており、利用者として気になる場面もあります。特に露天風呂のように無防備になりやすい場所を想像すると、不安を感じる方もいるかもしれません。
そこで本記事では、自然現象としての熊と温泉について以下をわかりやすく解説します。

熊の温泉地出没ニュースのまとめ
温泉地に熊が現れる理由
熊被害が温泉地に与える影響
熊と遭遇しにくい温泉地
この記事が皆様のニュースを深く理解するとともに安心して温泉を楽しめる一助になれば幸いです。
2025年の温泉地における熊出没ニュース
ここでは、2025年に報じられた温泉地での熊の出没事例を、代表的な3件に絞って紹介します。
岩手県北上市・瀬美温泉|露天風呂清掃中の従業員がクマに襲われ死亡
2025年10月16日午前10時ごろ、露天風呂を1人で清掃していた従業員男性の姿が見えないことに支配人が気づき、同11時15分に警察へ通報した。露天風呂では血痕が確認され、男性のものとみられる眼鏡やスリッパが散乱していたという。
男性の遺体は翌17日午前9時ごろ、瀬美温泉近くの雑木林で発見された。現場付近ではツキノワグマ1頭が射殺されており、成獣の個体だった。遺体が見つかった場所は瀬美温泉から北西へ約50メートル、夏油川を挟んだ対岸の雑木林内だった。
(出典:岩手日報 北上の瀬美温泉、7日再開 10月にクマ襲撃で被害 露天風呂は閉鎖、監視を強化)
山形県米沢市大沢・滑川温泉「福島屋」|旅館にクマが侵入し籠城状態に
山形県米沢市大沢の旅館「滑川温泉 福島屋」の1階にクマが侵入しているのを、経営者が発見して110番通報した。クマは体長約1.5メートルの成獣で、性別は確認されていない。旅館は11月5日から冬季休業中で、宿泊客はいなかった。
経営者ら家族3人は2階へ一時避難し、その後、非常階段から外へ脱出して無事だった。クマは1階に留まり続けていたが、正午前に緊急銃猟により駆除された。滑川温泉は標高約850メートルに位置する名湯で、福島屋は開湯200年以上の歴史を持つ老舗旅館として知られている。
(出典:産経新聞 クマが山形・滑川温泉の老舗旅館に籠城、緊急銃猟で駆除 開湯200年以上)
長野県・野沢温泉村|雪かき中の男性がクマに襲われ負傷
2025年12月4日朝、長野県野沢温泉村で雪かきをしていた78歳の男性がクマに襲われ、顔などにけがを負って搬送された。警察によると、男性は4日午前6時半ごろ、店先で1人で雪かきをしていた際に突然クマに襲われた。
観光客が血を流して倒れている男性を発見し、救急搬送された。男性は意識があり、タオルで止血しながら「顔と足が痛い」と話していたという。警察や猟友会はパトロールを続けているが、クマはまだ発見されておらず、住民や利用客へ注意を呼びかけている。(2025年12月9日現在)
(出典:NBS長野放送 クマに雪かき中に襲われる 温泉街の店の前で…78歳男性が血を流して倒れているのを観光客が見つける 顔などにけがを負い搬送)
熊が温泉地に出没する理由とは
ここでは、なぜ熊が温泉地に現れるのかについて、温泉地と熊の関係、そして最近の熊の生態変化を踏まえて整理し、解説します。
理由① 温泉地が多い地域と熊の出没が多い地域が重なっている
環境省が公表している令和5年度の温泉利用状況と、クマの出没情報(速報値:R7年4〜9月)によると、温泉地が多い地域ほど熊の出没件数も多い傾向があります。
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_※R7年度のデータは-4〜9月までの速報値-.png)
日本で温泉宿泊数が最も多い静岡県(2,263件)は、熊の出没件数が68件で全国25位と少ないものの、温泉宿泊数が2位の長野県では熊出没数が全国7位の869件、温泉宿泊数が8位の新潟県では熊出没数が全国5位の1,248件、同じく温泉宿泊数が7位の福島県では熊出没数が全国8位の848件となっています。
また、環境省の速報値には含まれていませんが、北海道にはツキノワグマより大型のヒグマが生息していることがよく知られています。
これらのデータを見ると、温泉地の多い地域と熊の生息域・出没地域が重なっていることが、温泉地で熊の出没ニュースが多い理由の一つといえます。
冬眠しない熊
最近になって温泉地で熊の目撃が増えている理由の一つに、「冬眠しない稀な熊の存在」という生態上の例外があります。本来、温泉が賑わう冬季は熊が冬眠するため、活動時期が重なりにくい状況でした。
しかし、餌不足で十分な皮下脂肪を蓄えられず冬眠の準備が整わない個体や、人里で餌を得られることを学習し、冬でも行動を続ける例外的な熊が確認されることがあります。
これまで「温泉シーズン=熊が冬眠している時期」という棲み分けが成り立っていましたが、こうした稀な個体の行動が前提を崩し、冬でも熊が温泉地周辺に出没する可能性につながっていると考えられます。
熊の冬眠については👇コチラの記事で解説しています。
寒さじゃない?熊の冬眠理由。冬眠いつから&冬眠しない個体の謎

理由③人慣れ熊の増加
熊が温泉地周辺に姿を見せる理由の一つとして、人や生活音に慣れた「人慣れ熊」が増えていることが挙げられます。
群馬県・万座温泉にある万座しぜん情報館の小林館長によると、
「以前は車やバイクが頻繁に通る時間帯は、一日中監視していても熊を見ないことが多かった。しかし最近は、そうした騒音があってもあまり関係なくなってきているように感じる。慣れてきていると思う」(出典:ANNnewsCH温泉地に影落とすクマ 自然か安全か…絶景露天風呂も苦渋の選択 キャンセル続出で【羽鳥慎一モーニングショー】(2025年12月2日) インタビュー )
と話しています。
さらに、木に登って柿の実を食べていた熊に爆竹を鳴らしても、驚きはしたものの逃げなかったという事例もあるそうです。
このように、人の生活圏に熊が警戒心を弱めながら近づいているケースが見られることも、温泉地周辺での出没増加につながっている可能性があります。
人慣れ熊「アーバンベア」については
👇コチラの記事で解説しています。
アーバンベアとは?意味・原因・被害状況をわかりやすく解説

熊被害が温泉地に与える影響
直接的な被害だけでなく、熊被害のニュースは温泉地にさまざまな形で影響を及ぼしています。ここでは、こうしたニュースがどのように温泉地へ影響し、各地でどのような対策がとられているのかを紹介します。
岩手県・夏油温泉「元湯夏油」|露天風呂への不安による客足の減少
岩手県北上市で起きた人身被害の現場から数キロ離れた夏油(げとう)温泉は、観光客に人気の温泉地です。しかし、温泉旅館「元湯夏油」を営む高橋宏典社長によると、紅葉シーズンの客足は例年の2〜3割程度にまで落ち込んだといいます。
高橋社長は、「付近でクマの目撃情報はほとんどなかったが、『露天風呂=危険』というイメージが広がり、利用客が離れてしまった。もはや風評被害だ」と困惑した様子を語っています。
(出典:産経新聞 クマ被害、秋の観光地に打撃 「露天風呂=危険」の風評も 宿泊キャンセル、イベント中止)
秋田県・日景温泉|相次ぐキャンセル
明治26年創業の老舗旅館「日景温泉」は、『東北の草津』として知られる人気温泉地です。周辺ではこれまで熊の目撃情報はないものの、岩手県北上市での人身被害を受け、宿泊客からのキャンセルが相次ぎ、約50件にのぼったといいます。
旅館では安全対策として、露天風呂へ続く自然道をベニヤ板で囲い、熊が侵入しないよう閉じられた動線に変更しました。また、露天風呂そのものにも柵を設置しており、本来であれば雪景色を一望できる景観も、現在は視界が制限されている状況です。
さらに、館内には自然を散策できるコースもありますが、熊への警戒から朝夕の利用を控えてもらう対応をとっているとのことです。
(出典:朝日新聞 眺めも、隔てる クマ被害、損失「コロナ以来」)
秋田県・大湯温泉「阿部旅館」|予約段階から問い合わせ増、独自のクマ対策も実施
湯沢市皆瀬の大湯温泉にある「阿部旅館」は、奥小安峡に位置し、200年以上の歴史を持つ老舗旅館です。2025年10月9日には、旅館近くで70代の女性がクマに襲われたほか、市内の住宅にもクマが入り込んでとどまる出来事がありました。
阿部旅館の阿部司代表によると、
「クマは出ているのか、状況はどうかなど、予約の段階で確認の電話が以前よりかなり増えています。昨年はキャンセルが全くなかったのに、今年はテレビで熊の報道を見たお客様から10件ほどのキャンセルがありました」
と話します。
阿部代表がクマ対策として始めたのは「ロケット花火」です。毎日夕方、露天風呂に隣接する山へ向けて欠かさず打ち上げており、山全体に音が響くよう角度にも工夫を凝らしています。旅館周辺に目撃情報はないものの、火薬の匂いにはクマを遠ざける効果があるとされています。
ただし、ロケット花火は1本400円と決して安くなく、毎日使用することで経済的負担も大きいといいます。それでも阿部代表は「安全を守るためにできることを」と取り組みを続けています。さらに、客の不安に寄り添うため、ブログにはあえて「クマが心配でのキャンセルも受け付けております」と記載し、安心材料として発信しています。
(出典:FNNプライムオンライン クマで営業停止にはしない!湯沢市の老舗旅館、温泉文化守るため対策に奔走 異常出没が観光業に打撃 秋田)
熊が出ない温泉地・熊と遭遇しない温泉地
熊と遭遇する心配なく温泉を楽しめる地域はあるのでしょうか。結論として、そのような温泉地は存在します。ここでは、熊と遭遇しない温泉地の特徴と、なぜ遭遇リスクが低いのかについて解説します。
四国|熊の数が限定的
四国は県を絞れば、安心して温泉を楽しめる
四国に生息する熊は極めて少なく、NPO法人「四国自然史科学研究センター」によると、2024年度に確認されたのはわずか26頭です。生息域も、徳島県と高知県にまたがる剣山系とその周辺に限定されており、「絶滅の恐れのある地域個体群」に指定されています。
剣山周辺には、剣山木綿麻温泉(美人の湯として知られる)、大歩危・祖谷エリアの大歩危温泉(峡谷美が有名)、ホテル祖谷温泉(絶景露天)、べふ峡温泉などがあります。剣山周辺の温泉地には注意が必要ですが、一方で、四国には熊の生息域から離れた有名な温泉地も多く、そうした地域では熊と遭遇する心配なく温泉を楽しむことができます。
(出典:読売新聞オンライン 四国のクマ生息数、これまでの推定上回る26頭を確認…「地域個体群は維持」)
熊と遭遇しない四国の有名温泉地
四国には、熊の生息域から離れた温泉地が多く、安全に温泉を楽しめる名湯が点在しています。代表的な温泉地としては、日本最古湯として知られる道後温泉(愛媛)、瀬戸内海の景観が魅力の小豆島温泉(香川)、あじ温泉(香川)、金刀比羅宮に近いこんぴら温泉郷(香川)、そして「伊予三湯」のひとつとして名高い鈍川温泉(愛媛)などが挙げられます。また、高知県には歴史あるあしずり温泉郷もあります。
道後温泉(どうごおんせん・愛媛):
日本三古泉の一つに数えられ、レトロな温泉本館や湯上がりの街歩きが楽しめる人気の温泉地です。
小豆島温泉(しょうどしまおんせん・香川):
瀬戸内海の絶景が広がるロケーションが特徴で、リゾート感あふれる温泉地として親しまれています。
あじ温泉(香川):
瀬戸内海を望む静かな温泉地で、塩化物泉のまろやかな湯が人気です。
こんぴら温泉郷(香川):
金刀比羅宮の門前町に位置し、参拝と温泉を同時に楽しめることから観光客に人気があります。
鈍川温泉(にぶかわおんせん・愛媛):
「伊予三湯」のひとつに数えられる名湯で、清流沿いの静かな環境と美肌効果の高い湯が魅力です。
あしずり温泉郷(高知):
四国最南端・足摺岬に位置する歴史ある温泉地で、弘法大師ゆかりの伝説が残る由緒ある温泉です。
いずれの温泉地も熊の生息域から地理的に大きく離れており、熊と遭遇する心配なく温泉を満喫できます。
九州|熊が絶滅した地域
九州の温泉地では熊と遭遇しない
九州には現在、熊は生息していません。環境省は2012年8月の「第4次レッドリスト」において、九州のツキノワグマは絶滅したとして正式に認定しました。これは、九州に固有のツキノワグマ個体群が地域から完全に姿を消したことを意味します。
九州には、別府温泉・黒川温泉・指宿温泉など全国的にも知られる名湯が数多くありますが、これらの温泉地で熊と遭遇することはありません。
熊がいない九州の有名温泉地
九州には、日本一の湯量を誇る別府温泉(大分)、情緒ある街並みが魅力の由布院温泉(大分)、湯めぐりが楽しい黒川温泉(熊本)、美肌の湯として有名な嬉野温泉(佐賀)、名物の砂むし温泉が人気の指宿温泉(鹿児島)、歴史ある雲仙温泉(長崎)、レトロな温泉建築が残る武雄温泉(佐賀)など、個性豊かな名湯がそろっています。
別府温泉(べっぷおんせん):
日本一の湧出量を誇る温泉地で、「別府八湯」と呼ばれる多様な泉質や名物の地獄めぐりが人気です。
由布院温泉(ゆふいんおんせん):
由布岳を望む風情ある温泉地で、街歩きやカフェ巡りも楽しめる情緒豊かなエリアです。
黒川温泉(くろかわおんせん):
「入湯手形」で湯めぐりができる温泉街として有名で、自然と調和した雰囲気が魅力です。
嬉野温泉(うれしのおんせん):
とろみのある美肌の湯として知られ、日本三大美肌の湯に数えられる名湯です。
指宿温泉(いぶすきおんせん):
砂むし温泉が名物で、ここでしか味わえない独特の入浴体験が楽しめます。
雲仙温泉(うんぜんおんせん):
長い歴史を持ち、火山地帯ならではの地熱や湯けむりの風景が特徴の温泉地です。
武雄温泉(たけおおんせん):
朱塗りの楼門が象徴的なレトロな温泉地で、開湯1300年の歴史を持つ名湯です。
九州で熊が絶滅した理由は
👇コチラの記事で解説しています。
九州の熊が絶滅したのはなぜ?驚きの歴史と現在の課題

千葉県|本州唯一熊が一頭もいない県
千葉県の温泉地では熊と遭遇しない
千葉県は古くから「里山と平地の連続」で構成されており、山地が少なく、クマが生息できるような広い森林帯が存在しません。そのため、本州では唯一、クマが一頭も生息していない県とされています。
温泉宿泊施設数は全国23位の193件と多くはないものの、年間延べ宿泊者数は55,156人で全国7位に入っています。これは、東京・神奈川といった首都圏からのアクセスが良く、人気の温泉施設が点在しているためです。
千葉県の温泉地は地理的にクマの生息環境と重ならないため、熊と遭遇する心配なく温泉を楽しむことができます。
千葉県の有名温泉地
千葉県には、海沿いの鴨川温泉・小湊温泉郷・犬吠埼温泉郷・白子温泉、内陸の養老渓谷温泉郷など、多彩な温泉地があります。鴨川・小湊エリアは特に人気が高く、塩化物泉・炭酸水素塩泉・黒湯など個性豊かな湯質が楽しめ、露天風呂やリゾート施設も充実しています。
鴨川温泉(かもがわおんせん):
太平洋を望むロケーションが魅力で、新鮮な海の幸を提供する旅館が多い温泉地です。近隣には日蓮聖人の誕生地として知られる小湊地区が広がります。
小湊温泉郷(こみなとおんせんきょう):
鴨川市小湊に位置し、鯛の浦遊覧船で有名な鯛の浦が近く、海沿いの宿が多いエリアです。
犬吠埼温泉郷(いぬぼうさきおんせんきょう):
銚子市にあり、太平洋の雄大な景観が楽しめる温泉地として人気です。
白子温泉(しらこおんせん):
九十九里浜に面し、温泉宿が立ち並ぶエリアでスポーツ合宿地としても知られています。
養老渓谷温泉郷(ようろうけいこくおんせんきょう):
房総半島の山間に位置し、ヨード分を多く含んだ「黒湯」が特徴。とろりとした湯触りが人気の温泉地です。
勝浦温泉(かつうらおんせん):
赤みがかったコーラ色のお湯(塩化物泉)が特徴で、「日本の名湯百選」に選ばれた実績を持つ名湯です。
千葉県に熊がいない理由を詳しく解説しているのは
👇コチラの記事です。
【本州唯一】クマがいない地域・いない県はどこ?本州唯一の県と九州・沖縄の実態

F&Q
Q1. なぜ最近、温泉地で熊の目撃が増えているのですか?
A. 温泉地が熊の生息域と重なる地域が多いことに加え、冬眠できない稀な熊の存在や、人に慣れた「アーバンベア」の増加が背景にあります。
Q2. 実際に温泉地で熊に襲われた事例はありますか?
A. はい。2025年10月には岩手県の瀬美温泉で清掃中の従業員が襲われ死亡する事例、2025年12月には長野県で雪かき中に襲われる事件がありました。
Q3. 四国の温泉地は熊と遭遇する心配がありますか?
A. 剣山系の一部を除けば、四国の多くの温泉地(道後温泉・こんぴら温泉郷など)は熊の生息域から離れており、遭遇の心配はほぼありません。
Q4. 九州の温泉地には熊がいますか?
A. いません。環境省は九州のツキノワグマを絶滅種として認定しており、別府・黒川・指宿などの温泉地で遭遇することはありません。
Q5. 千葉県の温泉地で熊と遭遇する可能性はありますか?
A. ありません。千葉県にはクマが一頭も生息しておらず、鴨川・小湊・養老渓谷・犬吠埼などの温泉地は安全に利用できます。
まとめ
ここまで、温泉地での熊出没ニュースの実態から、熊が温泉地に現れる理由、温泉地への影響、そして遭遇リスクの低い地域まで解説してきました。最後に、本記事の重要ポイントを整理します。
■本記事のポイント
✅ 温泉地と熊の出没地域は重なりやすい
温泉地は山間部や森林地帯に位置することが多く、もともと熊の生息域と一致しやすい地理的条件があります。特に長野・新潟・福島といった温泉の多い県は、熊出没件数でも上位に入っています。
✅ 冬眠しない“例外的な熊”の存在が出没増加の一因
餌不足で脂肪を蓄えられない個体や、人里に餌があると学習した個体など、冬でも活動する稀な熊が確認されています。これにより、本来は安全とされてきた冬季の温泉シーズンにも出没が可能性として挙げられています。
✅ 人慣れした「アーバンベア」の増加で警戒心が薄れている
騒音や人の気配を気にせず行動する熊が増加。爆竹でも逃げない例も報告されており、温泉街への接近リスクが上昇しています。
✅ 熊被害のニュースは観光地に大きな経済的ダメージを与える
キャンセル増加、露天風呂の閉鎖、景観制限、イベント中止など、直接被害がなくても「風評被害」で客足が落ち込むケースが多数あります。
✅ 四国は剣山周辺を除けば熊との遭遇リスクが低い
四国全体でも確認された熊はわずか26頭。
生息域は徳島・高知の剣山系に限定され、道後温泉やこんぴら温泉郷など主要温泉地は熊の分布域から大きく離れています。
✅ 九州は熊が完全に絶滅しており、温泉地での遭遇リスクはゼロ
2012年に「九州ツキノワグマ」を絶滅種として環境省が正式認定。別府・黒川・指宿などの温泉地では熊と出会うことはありません。
✅ 本州で熊が完全にいないのは千葉県のみ
千葉県には生息が一頭も確認されておらず、鴨川温泉・小湊温泉・犬吠埼温泉・養老渓谷温泉郷などは安心して利用できます。
温泉には、自然の景色を眺めながら湯に浸かったり、露天風呂ならではの非日常的な開放感を楽しんだりと、心身を癒す魅力があります。しかし、熊の出没を意識してしまうと、せっかくの温泉も不安が残り、存分に楽しめないという気持ちは理解できます。
一方で、温泉地には長い歴史を持つ老舗旅館や、地域の文化を支えてきた宿も多く、ようやくコロナ禍から回復しつつある中で、熊の問題によって客足が遠のく状況は、旅館の存続や従業員の生活にも影響を及ぼしかねません。
今回、「熊と温泉地」の関係を調べて、熊問題は遭遇といった直接的な危険だけでなく、温泉地全体の観光や経済に間接的なダメージを与える深刻な課題であることを、改めて実感しました。
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