熊の耳がいいのは本当?動物界でもトップクラスの聴覚を解説

熊の耳は本当に良い?聴覚の仕組みと驚きの能力を解説

実は熊の聴覚は、動物界でもトップクラスの性能を誇ります。

人間には聞こえない高音や、数百メートル先の音のわずかな変化まで感じ取ることができ、
まるで“自然のレーダー”のように周囲の情報をキャッチしています。

この記事を読むことで、熊の耳がどれほど優れた感覚器官なのかを理解でき、森の生態をより深くイメージできるようになります。

この記事では、

    • 熊の聴覚

    • 熊の聴覚がどのくらい優れているのか

    • 人間や他の動物との違い

    • 熊が嫌がる音とは

について解説しています。

熊の耳はどれくらい良い?

森の奥で小動物が草を踏む音、枝が折れる微かな音や葉が擦れる音など、
クマはこうしたわずかな自然の響きを敏感に捉え、
周囲の状況を正確に察知しています。

さらに、クマは「音の種類によって行動を変える」ことができます。
同じ「カサッ」という音でも、風が葉を揺らした音か、
人間が近づいた音かを聞き分け、「逃げる・確認する・無視する」など、
状況に応じた反応を選んでいます。

人間との比較

クマの聴覚は、高周波や低周波の音に対して非常に鋭敏です。
人間にはほとんど聞こえないような音域でも、クマは正確に聞き分けることができます。

高音だけでなく、足音や地面の振動、落下音などの低音も感知し、
おおよそ20Hz〜30kHzの範囲を聞き取れるとされます。

これは人間の聴力(約20Hz〜20kHz)よりも広いレンジを持ち、
より多様な音の世界を認識していることを意味します。

(出典:クマの耳は高音に敏感な“音の探知機”! 枝の折れる音まで聞こえる脅威の聴力とは)

 熊の耳だけじゃない!他の感覚について

視覚

クマの視力は人間とほぼ同等とされており、
特に暗い場所での視覚能力に優れています。

クマの目は人間の約50倍もの光を集めることができ、
夜間でも周囲を認識できる可能性が高いといわれています。

クマの目が暗闇で光って見えるのは、網膜の奥に
「タペタム・ルーシダム」と呼ばれる光を反射する層があるためです。

この反射層により、わずかな光を効率的に再利用できるため、
夜でも高い視認性を保っています。

嗅覚

犬の嗅覚は人間の数百万~1億倍といわれますが、
ヒグマの嗅覚はその犬の約7~8倍も優れているとされています。

風向きが適していれば、5km以上離れた場所にある鹿の死骸の匂いを
察知できるほど強力です。

この優れた嗅覚により、クマは餌の場所を見つけたり、
ほかの個体の存在を察知したりすることができます。

触覚

クマの触覚は鈍感ではないものの、分厚い皮膚と皮下脂肪に覆われており、
有刺鉄線に触れてもほとんど気にしないほどの耐性を備えています。

そのため、細かな感触よりも嗅覚や聴覚によって周囲の情報を得る傾向があります。

 

熊が嫌がる音とは?

熊が嫌がる音とは?

熊が嫌がるとされる音には、突然の大きな音(クラクション・エアホーン・金属音など)や高音(ホイッスル・サイレン)、人の声や鈴の音などが挙げられます。

ただし、こうした反応は個体差があり、最近では人間の生活環境に慣れた熊には効果が
薄い場合もあると報告されています。
毎日新聞 専門家が鈴の効果に警鐘 音に耐性、警戒心薄れる?

以下の動画では、個人が行った実験の様子を紹介しています。

※あくまで個人による観察であり、科学的根拠をもつ研究結果ではありません。実際の熊対策を行う際は、自治体や環境省など公的機関の情報を参考にしてください。


熊が嫌がる周波数がある?

熊が反応するとされる周波数には、一般的に「80~120ヘルツ」の低周波音や「20kHz以上」の超音波が挙げられます。

低周波音は熊が警戒時に発するうめき声に近いとされ、超音波は人間の耳には聞こえない高い音域です。

熊の聴覚特性には個体差があり、すべての熊が同じ反応を示すわけではありませんが、

この周波数に着目して、山梨県のT.M.WORKS社が熊の撃退装置を開発し、岡山理科大学や帯広畜産大学と共同で実証実験を進めているそうです。

【出典:読売新聞 低周波音でクマ撃退、山梨の車部品製造会社が「くまドン」開発…実験ではイノシシにも効果あり)】

Q&A

Q1「熊は人間の話し声も聞こえているの?」

はい、聞こえています。

熊の可聴域(約20Hz〜30kHz)は人間より広く
、話し声の周波数帯(およそ300〜3,000Hz)もしっかり届きます。

そのため、静かな山林では人間の会話や足音などを十分に感知できると考えられています。
 

Q2「熊の聴覚は他の動物と比べてどうなの?」

熊の聴覚は、犬や猫と同等、またはそれに匹敵するレベルの高感度を持つといわれています。

高周波・低周波の両方を認識できるため、環境音の中から特定の音を聞き分ける能力に優れています。
 

Q3「熊の耳が良いのはなぜ?」

熊は嗅覚だけでなく、聴覚も狩りや危険回避に欠かせない感覚だからです。夜間や見通しの悪い森で音によって獲物の動きや他の熊の接近を察知します。進化の過程で生存に有利な聴覚が発達したと考えられます。

 

まとめ

熊は人間よりもはるかに発達した聴覚を持ち、
風で葉が揺れる音と人の足音を聞き分けるほど繊細です。

高音・低音のどちらにも敏感に反応できるうえ、視覚や嗅覚も人間とは比べものにならないほど鋭く、まさに「森の感覚ハンター」といえる存在です。

熊が嫌がる音や周波数には個体差があり、最近では人間の生活環境に慣れた熊も増えています。
そのため、「この音を出せば必ず逃げる」とは言い切れません。

とはいえ、熊の聴覚特性に着目して撃退装置を開発する企業もあり、
研究や実証が進められています。

私たちができるのは、熊の優れた感覚を理解し、自然との距離を適切に保ちながら共存していくことです。

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