約半世紀の歴史に幕 日産車体 湘南工場の閉鎖が正式発表されました
2025年7月15日、日産自動車は神奈川県平塚市にある子会社「日産車体 湘南工場」での車両生産委託を段階的に終了することを正式に発表しました。これにより、小型商用車「AD」は2025年10月に生産を終了し、「NV200バネット」は2026年度末(2027年3月末)までに生産を終えます。
これにより、湘南工場における量産車の生産は2026年度内にすべて終了。長年にわたり地域経済を支えてきたこの工場は、大きな転換点を迎えることになります。
なぜ湘南工場は閉鎖されるのか?日産の戦略を読み解く
閉鎖の背景には、日産が進めている経営再建計画「Re:Nissan」があります。この計画では、世界全体の生産能力を従来の約350万台(中国除く)から250万台へ縮小し、工場稼働率を高めることが目指されています。
湘南工場の閉鎖はその一環であり、生産ラインの集約によってコスト効率を上げ、グローバル競争に備える狙いがあります。また、現在生産されているモデルの後継車が湘南工場以外で生産される計画となっており、これも判断の一因となっています。
工場閉鎖でも仕事はある?従業員の雇用は守られるのか
湘南工場の閉鎖により、従業員の雇用への影響が懸念されます。しかし日産車体は「雇用を最優先に対応する」と明言しており、他工場や近隣施設への配置転換、新たな事業(特装車・サービス部品等)への移行など、複数の選択肢を模索中です。
過去には、同じく神奈川県内にあった追浜工場の閉鎖時にも従業員を配置転換する対応が取られており、今回も同様の措置が検討されています。ただし、現時点での具体的な人数や配属先については未定で、労使間の協議が今後の焦点となりそうです。
地域経済にどんな影響が?取引先企業や住民への波及も懸念
湘南工場が閉鎖されることにより、地域経済にも広範な影響が出る可能性があります。日産と直接・間接的に関わる企業は神奈川県内だけで1700社以上存在しており、部品供給や輸送、清掃、給食など多岐にわたる業種が関係しています。
神奈川県は、こうした事態を受けて中小企業向けの相談窓口を設置するなど、支援体制を整え始めています。今後は、地元企業の再編や雇用創出支援が行政の大きなテーマとなるでしょう。
他の工場は大丈夫?日産の今後の国内戦略とは
湘南工場の閉鎖発表と同時に、日産は「これ以上の国内拠点削減は行わない」と明言しました。これは、今後の日本国内生産体制を現状のまま維持し、競争力と雇用のバランスを両立させたいという意向の表れです。
2027年度には新たな商用車モデルが登場予定ですが、それらは湘南工場以外で生産される計画となっています。今後は、他工場での設備更新や電動化対応といった取り組みが進むとみられています。
まとめ:湘南工場の閉鎖は日産再建に必要な一手と地域への試練の両面性を持つ
日産車体 湘南工場の閉鎖は、企業としての生き残り戦略の中で下された苦渋の決断です。従業員の生活や地域に根ざした産業構造への配慮も欠かせません。
今後の注目点としては、従業員の円滑な配置転換が実現するかどうか、地域経済へのダメージをどこまで軽減できるか、そして日産の国内生産体制が新たな形で安定していくかが挙げられます。
今後の動向にも引き続き注目していきたいところです。
Q&Aコーナー:読者の「気になる」を先回りして解決!
Q. 湘南工場の従業員は解雇されるのですか?
A. 日産は「雇用を守る」と明言しており、配置転換や新事業への移行が検討されています。
Q. 工場跡地には何が建つのですか?
A. 現時点では未定ですが、今後、自治体との協議や民間再開発が進む可能性もあります。
Q. 湘南工場で作られていた車はどうなるの?
A. 「AD」「NV200」の生産は終了し、後継モデルが別工場で製造される予定です。
Q. 今後ほかの国内工場も閉鎖されるのでは?
A. 日産は「国内の拠点削減はこれ以上行わない」と発表しています。
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