更新日:2025年11月18日
熊の嗅覚は人間の何倍?驚異の能力と生態を徹底解説
「熊の嗅覚は犬よりも優れている。」そんな事実をご存じでしょうか。
人間より鋭いのは当然としても、犬を上回るレベルだと知り、私自身とても驚きました。
これまでの記事では熊の聴覚や熊の脚力について取り上げましたが、今回は「嗅覚」に注目します。動物界でもトップクラスといわれる熊の嗅覚が、どれほど高性能なのか。
できるだけわかりやすく整理してお伝えします。
この記事で分かること:

- 熊の嗅覚が人間や犬と比べてどれほど優れているか
- 熊が嗅覚をどのように日常生活で使っているのか
- 熊が好む臭い・嫌う臭い
このブログでは、ニュースをより深く理解するための情報をお届けすることを目指しています。
熊の嗅覚は動物界トップクラス|驚異の数値データ
まず最初に、熊の嗅覚がどれほど優れているのか、具体的な数値データから見ていきましょう。
人間と比較すると何倍?
熊の嗅覚は人間の5000倍とも言われています。
これがどれほど凄いことか、少し想像してみてください。私たちが「あ、カレーの匂いがする」と気づくのは、せいぜい隣の部屋か廊下程度の距離です。しかし熊は、その5,000倍の感度で臭いを検知できるのです。
犬と比較すると何倍?
「嗅覚が優れている動物」と聞いて、多くの人が真っ先に思い浮かべるのが犬でしょう。警察犬や麻薬探知犬など、犬の嗅覚は私たち人間の社会でも広く活用されています。
しかし、熊の嗅覚はその犬をも大きく上回ります。
ヒグマの嗅覚は、犬種や臭いの質にもよりますが、一般的な犬の6~10倍と言われています。さらに驚くべきことに、犬の中で最も嗅覚が優れているとされるブラッドハウンド(警察犬)と比較しても、熊は約5~7倍の嗅覚を持つという研究結果があります。
ブラッドハウンドは2週間以上前の臭いを追跡できると言われますが、熊はそれをさらに上回る能力を持っているということになります。犬でも追えない微かな臭いを、熊は難なく追跡できるのです。
(出典:東京フライフィッシング&カントリークラブ クマとどう向き合うか)
何キロ離れた臭いまで嗅ぎ分けられるのか
熊の嗅覚の到達距離については、複数の研究で興味深いデータが報告されています。
ツキノワグマ・ヒグマ:一般的に、熊は3キロ離れた場所からでも臭いを嗅ぎ分けられると言われています。
(出典:まごころふるさと便 熊専用忌避剤「熊にげる」ページ)
シロクマ(ホッキョクグマ):1.5km先かつ1mの積雪の下でもアザラシの匂いを嗅ぎ分けることができるそうです。
(出典:yanakiji ホッキョクグマの生態に迫る!毛の秘密やハンターとしての凶暴さ)
熊は嗅覚をどのように使っているのか|生態から見る実例
熊は実際の生活の中で、この優れた嗅覚をどのように使っているのでしょうか。
食物を探すための嗅覚利用
熊の生活において、嗅覚の最も重要な役割は食物を探すことです。
季節ごとの食べ物探し
熊の一年は、季節によって食べ物が大きく変わります。
- 春(4~6月):冬眠明け。草本類(フキ、セリなど)
- 夏(7~8月):草本類、アリなどの昆虫、初夏の果実(サクランボ、桑の実など)
- 秋(9~11月):ミズナラなどの堅果類、サルナシ、ヤマブドウなどの果実、川を遡上するサケ
- 冬(12~3月):冬眠
※ツキノワグマとヒグマは多少食性が違います
熊は「いつ、どこで、何が食べられるか」を嗅覚を使って記憶しています。去年美味しいドングリが食べられた場所を覚えていて、今年の秋も同じ場所を訪れるのです。
熊のエサについてはコチラ👇の記事で詳しく説明しています。
熊のエサ不足が深刻化…原因は人間だった?

土に埋まった食物も見つける能力
熊の嗅覚が優れている証拠として、土の中に埋まった食べ物でさえ嗅ぎ分けて見つけられる点が挙げられます。
その鋭い嗅覚ゆえに、食べきれなかった獲物を土に埋めて隠す習性があります。
こうして埋められた餌は「土饅頭(どまんじゅう)」と呼ばれています。
繁殖期のコミュニケーション
熊は基本的に単独行動の動物ですが、繁殖期には話が別です。
フェロモンによる異性の探索
初夏(5~7月)は熊の繁殖期です。この時期、オスの熊はメスが発するフェロモンの臭いを追って広範囲を移動します。
オスの行動圏は通常でも広いのですが、繁殖期にはさらに広範囲を動き回ります。メスの臭いを風に乗って感じ取り、時には数十キロも移動してメスを探すのです。
熊の行動範囲についてはコチラ👇で解説してます。
熊の移動距離はどれくらい?1日の行動範囲に驚愕

マーキング行動
熊は木などに自分の背中の匂いを擦り付ける「背こすり行動」をすることが知られています。
これは自分の存在を臭いで他の個体に知らせる行動です。特にオスは、自分の行動圏内に自分の臭いを残すことで、メスに対する自己アピールをしていると考えられています。
他にも、両後肢の足の裏を擦りつけるように左右に動かしながら歩くペダル・マーキング(足こすり)という行動があり、分泌される成分を地面に擦り付けることで、コミュニケーションを取り合っています。
(出典:のぼりべつクマ牧場 ヒグマクイズ「コミュニケーション」解説)
学習と記憶にも嗅覚が関与
熊は非常に学習能力の高い動物です。そしてその学習の中心にあるのが嗅覚なのです。熊は、食べ物に関する情報を嗅覚と結びつけて記憶しています。
これは熊が繰り返し人里に降りてくる要因にもなります。人里で拾い食いをした経験があるクマが、翌年も同じ場所に現れたり、キャンプ場やゴミ置き場に繰り返し出没するようになったりなど、そんな行動が実際に各地で報告されています。
(出典:Yahoo!ニュース 年々増加している「新世代クマ」ってなんだ!?クマ被害に遭わない一番の対策とは【専門家が解説】)
熊が好む臭い・嫌う臭い一覧
ここまで熊の嗅覚の能力と使い方を見てきました。それでは、具体的に熊はどんな臭いを好み、どんな臭いを嫌うのでしょうか。
※注意事項: 本セクションはデータの紹介を目的としています。実際の熊対策については、専門機関(環境省、都道府県の野生動物担当部署、専門家)の指導に従ってください。個人での判断は危険を伴う場合があります。
熊が好む(興味を示す)臭いリスト
研究や実験で、熊が強く引き寄せられることが確認されている臭いには、以下のようなものがあります。
1. 生ゴミ・腐敗臭
最も熊を引き寄せる臭いの代表格が、生ゴミや腐敗した有機物の臭いです。
熊は雑食性で、腐肉も食べます。発酵した果実や腐敗した動物の死骸など、強い腐敗臭はカロリーの高い食物のシグナルとして認識されます。
2. 果実(柿、リンゴ、ブドウなど)
秋の熊の主食は果実類です。特に柿、リンゴ、ブドウ、栗などは熊が大好きな食べ物です。
熟した果実の甘い香りは、熊にとって「高カロリー食」のサインです。果実が熟すと、糖分が増えて香りが強くなります。この香りを熊は遠くから嗅ぎつけます。
3. 油性の臭い(灯油、ガソリン、ペンキ)
意外なことに、熊は石油系の臭いにも強い興味を示すことが研究で分かっています。
新潟大学の箕口名誉教授によると「スギやヒノキにニオイが似ているからか」としています。
4. 香水・柔軟剤
ハイキングやキャンプでは香水や柔軟剤などの揮発性の強いにおいに興味本位で近寄ってくる可能性があるとも言ってます。
(出典:TBS NEWS DIG Powered by JNN クマの嗅覚は人の5000倍?好むニオイは生ごみ、柿…だけじゃない 灯油やガソリンにも注意【Nスタ解説】|TBS NEWS DIG)
熊が嫌う(回避する)臭いリスト
一方で、熊が嫌がるとされる臭いについても紹介します。
ただし注意点として、これらの情報は企業の製品説明を根拠としているものが多く、独立した実証データは確認できませんでした。そのため、一定のバイアスが含まれる可能性があります。
1. 唐辛子(カプサイシン)成分
唐辛子成分は熊に効果があると考えており、秋田県立大学はクマが嫌がるトウガラシのにおいのするくいを開発。他にも熊用忌避剤の主材料に「ジョロキア」から採取したカプサイシン成分を採用しているものもあります。
(出典:日経新聞 秋田でクマ被害対策 嫌がるくいや専門組織)
2. 木酢液・煙の臭い
熊用忌避剤の一部として木酢液が使われています。
木炭を作る過程で出来る木酢液が鼻にツーンときて、これが山火事を連想するみたいです。
さらに激辛唐辛子「ジョロキア」のカプサイシン成分が融合することで、匂いを嗅ぐと体が燃えてしまう感覚になるようです。
(出典:伝農アシスト株式会社 熊をぼる)
熊の嗅覚に関するよくある疑問【Q&A】
ここまでの内容を踏まえて、熊の嗅覚に関してよく寄せられる疑問にお答えします。
Q1: 熊が最も敏感に反応する臭いは何?
A: 腐肉や発酵した果実など、高カロリー食の臭いです。
熊にとって最も重要なのは「生き延びるためのカロリー摂取」です。したがって、高カロリーの食物の臭いに最も強く反応します。
特に以下のような臭い:
- 腐敗した動物の死骸(タンパク質・脂肪が豊富)
- 発酵した果実(糖分が高い)
- 油脂類の臭い
- 生ゴミ(多様な栄養素が混在)
秋の食いだめの時期(冬眠前)には、特にこうした高カロリー食への反応が強くなります。
Q2: 熊は視覚や聴覚はどうなの?
A: 視覚は人間並み、聴覚についても高音低音ともに人間以上に聞き取れます。
嗅覚についてはコチラ👇の記事で解説しています。
熊の耳がいいのは本当?動物界でもトップクラスの聴覚を解説

まとめ:熊の嗅覚は生存戦略の中心的能力
今回は、熊が動物の中でも非常に優れた嗅覚を持つことや、その嗅覚が行動にどのように関わっているのかを整理しました。最後にポイントをまとめます。
熊の嗅覚の驚異的な能力
- 人間の約5,000倍
- 犬の6~10倍、ブラッドハウンドの7倍
- 3キロ離れた臭いを検知可能
- 動物界でトップクラスの嗅覚
嗅覚の使い方
- 季節ごとの食物探索
- 繁殖期のコミュニケーション
- 学習と記憶の中心的役割
研究で判明した事実
- 好む臭い:生ゴミ、果実、油性の臭い、甘い香り
- 嫌う臭い:唐辛子、木酢液
今回整理した内容で、人里で食べ物を覚えると同じ場所に再び現れるケースがあることは、ニュースで報じられる熊の行動を理解する上で重要な視点だと感じます。
本記事の内容は、あくまで「熊の生態の背景を知る」ことを目的にまとめたものです。熊に遭遇した際の行動や安全対策を示すものではありませんが、ニュースの見え方が変わるきっかけになれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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