熊のおしりから垂れる白い紐の正体は?数メートルのサナダムシと寄生虫を解説
熊のおしりから、白くて長い“ひも状のもの”が垂れている動画を見たことがありますか?
私は最初「内臓なのでは…?」と思って驚いたのですが、調べてみると、これは熊に寄生するサナダムシ類が関係している場合があるようです。
私は証券会社で7年間勤務していたこともあり、ニュースや話題をデータや事実ベースで整理する”クセがあります。このブログも、身の回りで気になったニュースや動画をより深く理解するために書いています。
今回は、熊と寄生虫の関係について、専門的な医療情報ではなく、公的機関や研究で語られている範囲の知識としての事実整理を中心にまとめました。
■この記事でわかること

・サナダムシとは
・サナダムシと熊の関係
・熊に寄生する虫
・熊肉に関連して報告されている寄生虫症の症例(医学的助言ではありません)
・よくある質問
この記事が皆様のニュースを深く理解する一助になれば幸いです。
熊のおしりから見える白い“ひも状のもの”の正体とは?
まずは、話題になりやすい “白いひも状のもの” の正体について整理しておきます。熊のおしりから見えるこの帯状のものは、サナダムシ類の体の一部です。
ここから先は、「そもそもサナダムシとはどんな生物なのか?」「どうして熊に見つかることがあるのか?」という疑問を順番に整理しながら、知識として理解できる形でまとめていきます。
サナダムシとは
サナダムシは扁形動物の一種で、細長く平たい「ひも状の体」を持つ寄生性の生物です。成虫は頭の部分から首、そして多数の節が連なった体で構成されており、見た目が“きしめん”のように平たいのが特徴とされています。
サナダムシにはさまざまな種類が存在し、魚を宿主とするものや、動物の体内で成長するものなど、その生態は多様です。日本でよく知られている種類のひとつに「日本海裂頭条虫」があり、サクラマスやシロザケなどの体内で幼虫期を過ごすことが報告されています。
(出典:国立健康危機管理研究機構情報サイト)
日本海裂頭条虫の卵は、褐色で楕円形という特徴があると報告されています。成長した個体は、排便時に平たく帯状の“きしめんのような形”をした体の一部が外に見えることがあるとされています。成虫の体長は種類によって大きく異なり、中には非常に長く成長する例も知られています。
(出典:東邦大学医療センター大森病院 日本人に身近な魚サケやマスに潜む寄生虫〜日本海裂頭条虫〜)
(出典:札幌大通胃と大腸の内視鏡クリニックお尻から紐が出てきたら(日本海裂頭条虫:サナダムシ) )
なんでおしりからでているの?
知床半島では9月になると、数メートルにもなるサナダムシの虫体を肛門から垂らしたまま、川沿いでサケを探して歩くヒグマが実際に目撃されています。
(出典:ヒグマの会 ヒグマを知る/ヒグマと生態系)
ヒグマの腸管内で成長したサナダムシは、排泄によって大量の虫卵を外に放出します。虫卵は水中で孵化し、甲殻類などの第一中間宿主に取り込まれ、さらにサケ類へ移り、最終的にヒグマの体内へ戻ります。この『ヒグマ → 水中生物 → サケ → 再びヒグマ』という循環は、研究によって確認されています。(出典:J-STAGE 北海道知床半島産ヒグマの研究)
2015年9月には、知床で捕獲されたエゾヒグマから日本海裂頭条虫が複数検出されました。1頭のヒグマから8体以上の虫体が確認され、さらに熊肉についての分析では、1gあたり平均84±11.5匹の幼虫が存在していたと報告されています。
この「1gあたり84匹」という数字は、指先に乗るようなわずかな肉のかけらに平均80匹以上の幼虫がいたという意味です。
これは、ヒグマの体内でサナダムシの幼虫が非常に高密度で存在していたことを示しており、ヒグマが日本海裂頭条虫の主要な終宿主になっていることを裏付ける重要なデータです。
(出典:国立情報学研究所北 北海道知床半島産ヒグマ(Ursus arctos)における日本海裂頭条虫(Dibothriocephalus nihonkaiensis)の保有状況)
熊に見つかっているサナダムシ以外の寄生虫の種類
サナダムシ以外にも、クマには多様な寄生虫が確認されています。ここでは、研究機関の調査をもとに、主にクマの体内や生息環境で報告されている寄生性生物を3つのカテゴリーに整理します。
線虫類(旋毛虫・糸状虫など)
クマには旋毛虫(せんもうちゅう)が寄生していることが確認されています。国内では複数の系統の旋毛虫が見つかっており、野生動物に広く存在する寄生虫として研究されています。
糸状虫(しじょうちゅう)が頸部や胸部で確認され、血液中には幼虫にあたるミクロフィラリアも見つかっています。これらの結果から、クマが複数の線虫類の宿主となっていることが明らかです。
マダニやマダニが媒介する寄生性の生物
ヒグマの研究では、体表にマダニの寄生が広く確認されています。クマは大型の哺乳類としてマダニが成長する「好適な宿主」とされ、多くのマダニが付着することがあります。また、マダニを介して伝播する寄生性の生物(血液に寄生する微生物など)が確認された例もあります。クマがマダニの生息環境に関わることで、周囲の生態系にも影響する可能性が指摘されています。
(出典:ヒグマの会 ヒグマと生態系)
その他の寄生性原虫・吸虫など
兵庫県の調査では、ツキノワグマからヘパトゾーン属に分類される原虫の感染が確認されています。多くの個体の肺胞内で、この原虫の増殖ステージが観察されています。
そのほか、地域によっては肺吸虫(はいきゅうちゅう)など、線虫とは異なる寄生虫が見つかる例もあり、多様な寄生虫相を持つことが指摘されています。
これらは地域の環境、餌、生態行動によって感染状況が変わるため、野生動物の管理において把握すべき重要な情報とされています。
(出典:北海道獣医師会 【資料】指定管理鳥獣とされたヒグマの寄生虫について)
熊肉に関連して報告されている寄生虫症の症例(医学的助言ではありません)
熊肉に関連する寄生虫感染については、医療機関・公的研究機関がこれまでに複数の「症例報告」を発表しています。ここでは、各機関が公表している事実として確認された症例や統計のみをまとめ、医療的な判断・予防法・対応方法などの助言には触れません。
※本記事は研究報告をまとめたものであり、医療的アドバイスを目的としたものではありません。健康に関する判断は必ず医療機関・公的機関の情報をご確認ください。
日本海裂頭条虫に関する症例報告の概要
東邦大学医療センター大森病院のまとめでは、2007〜2017年の10年間で439件の日本海裂頭条虫症が報告されています。
以前は北海道・東北が中心とされていましたが、現在では全国各地で症例が確認されるようになったとされています。症状は無症状の例も多く、排便時に「きしめんのような虫体を見て気付く」ケースが多いと報告されています。
(出典:東邦大学医療センター大森病院 日本人に身近な魚サケやマスに潜む寄生虫〜日本海裂頭条虫〜)
サケ・マス類における寄生率の研究データ(クマとの関係を示す背景情報)
北海道大学の研究では、サケ・マスに寄生する幼虫(プレロセルコイド)の寄生率が13〜27% と報告されています。北海道の河川で採取された成熟マスでも、約20% の寄生率が確認されています。
これらの研究は、サケ・マス類とクマの食性が結びつくことで、寄生虫の生活環の一部が成立していることを示す背景情報として紹介されています。
(出典:北海道大学 安全・安心な水産物の提供をめざして )
熊肉を介した旋毛虫(せんもうちゅう)症の集団発生例
国立感染症研究所によれば、1974年以降の国内発生は 疑診例を含め13件、そのうち 「国内感染8件」「集団発生4件」 と整理されています。いずれも 熊肉の刺身・ロースト を原因食品とする症例が報告されています。
(出典:国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト)
(出典:札幌市 旋毛虫(トリヒナ)について)
札幌市・茨城県・青森県・三重県などで複数の患者が発生した事例がまとめられています。2016年の茨城県の症例では、熊肉1gあたり平均84匹の幼虫が確認されたと報告されています。
(出典:茨城衛生研究所 茨城県内で発生した旋毛虫による食中毒事例について )
症状としては、発熱・筋肉痛・好酸球増多・眼瞼浮腫などが段階的に出現したとされています(医学的解説ではなく症例報告の事実)。公的機関の整理では、加熱処理と発症率の関係が研究課題となっている報告もあります。
(出典:国立保健医療科学院 ツキノワグマ生食によるトリヒナ症の集団発生事例)
⚠ 本記事の注意・免責事項
・本記事は 医療機関・公的研究機関が公表した症例報告・研究データをまとめたもの です。
・症状の解説は 公開されている症例の記述内容 に基づくものであり、医学的な助言や診断・予防・
治療を目的としたものではありません。
・健康に関する判断や具体的な対応が必要な場合は、必ず医療機関・公的機関にご相談ください。
・当サイトは個別の健康問題に関するアドバイスを行っておらず、記載内容によるいかなる損害につ
いても責任を負いません。
よくある質問(F&A)
Q1. 熊のおしりから垂れている白い“ひも”は何ですか?
A. 多くの場合、サナダムシ類(条虫)の体の一部と考えられます。細長く平たい帯状の体をしており、排便のタイミングで体の一部が外に見えることがあります。
Q2. サナダムシとはどんな生き物ですか?
A. サナダムシは、扁形動物に属する寄生性の生物で、平たくて長い“ひも状”の体を持っています。頭・首・多数の節が連なった構造をしており、「きしめんのような見た目」と表現されることもあります。種類によって宿主となる生き物や体長は異なり、中には非常に長く成長するものも報告されています。
Q3. サナダムシとサケ・マス、そして熊の関係はどうなっていますか?
A. 研究によると、サナダムシの一部は「ヒグマ → 水中の小さな生き物 → サケ・マス → 再びヒグマ」というサイクルで生活史を送ります。ヒグマの腸管内で産み出された虫卵が水中に出て、甲殻類などに取り込まれ、その後サケやマスに移行し、最終的にヒグマに戻ってくるという循環が確認されています。このように、サケ・マスとヒグマは寄生虫の生態の中でも重要な関係にあります。
Q4. 熊にはサナダムシ以外にどんな寄生虫が見つかっていますか?
A. 研究機関の調査では、クマから旋毛虫(せんもうちゅう)や糸状虫(しじょうちゅう)などの線虫類が確認されています。また、体表にはマダニが多く寄生しており、マダニを介して血液に寄生する微小な生き物が見つかる例もあります。さらに、ヘパトゾーン属の原虫や肺吸虫など、地域や環境によって多様な寄生虫相を持つことが報告されています。
Q5. 熊の寄生虫研究は、どんなことに役立っているのですか?
A. 熊に見つかる寄生虫は、その地域の生態系や食物連鎖を知る手がかりになります。どの寄生虫が、どの地域・どの動物にどの程度見つかるかを調べることで、野生動物の健康状態や生息環境の変化を把握することができます。野生動物管理や保全、生態系全体のバランスを考えるうえで、寄生虫の研究は重要な情報源のひとつです。
この記事では、熊のおしりから垂れて見える白い“ひも状のもの”の正体を整理し、サナダムシやその他の寄生虫について 研究・公的機関のデータに基づく“知識としての事実のみ” をまとめました。
■本記事のポイント整理
✅ 熊のおしりから垂れる“白い紐”は、サナダムシ類の一部と考えられる
ヒグマでは腸管内で成長したサナダムシの体の一部が排便とともに外へ出ることがあり、
知床では 数メートルの虫体が垂れ下がったまま歩く 事例が実際に確認されている。
✅ サナダムシは種類が多く、日本海裂頭条虫はサケ・マスとの関係が深い
日本海裂頭条虫は、「ヒグマ → 水中の小型生物 → サケ・マス → 再びヒグマ」
という特徴的な生活史が研究で示されている。
✅ サケ・マス類の寄生率は研究で高い数値が確認されている
複数の大学・研究機関の調査では、サケ・マス類から10〜20%以上の寄生率が報告されており、
サナダムシの生態を理解する上で重要な背景データとなっている。
✅ 熊にはサナダムシ以外にも多様な寄生虫が存在する
旋毛虫(せんもうちゅう)、糸状虫(しじょうちゅう)、マダニ寄生、ヘパトゾーン属や肺吸虫など、地域によって多様な寄生生物が確認されている。これらは野生動物の生態・健康状態を知るうえで貴重な研究対象。
✅ 熊肉に関連する寄生虫症は、医療機関による「症例報告」が複数存在する
本記事では医療助言は行わず、東邦大学や国立感染症研究所などが公表している 症例報告のデータ のみに言及。国内では日本海裂頭条虫や旋毛虫症に関する統計・報告例が整理されている。
本記事は、証券会社に7年勤務した経験を持つ筆者が、ニュースを深く理解するための一助となることを目的としてまとめたものです。熊の寄生虫に関する情報は、野生動物の生態理解や食品衛生の観点から重要な知識であり、各専門機関の研究成果を基に整理しました。
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